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使い易く 慣れ易い 遠近・中近・近々両用眼鏡 を作るために。

快適な遠近両用メガネを作る為の

初心者向けアドバイスHP

(7)【 遠視の方で累進眼鏡をご希望のお客様から 】

遠視で老眼になると慣れにくいの?



「遠視で老眼だと、遠近両用は慣れ難いのでしょうか?』という
ご質問を複数頂きましたので、個人的な見解を記します。



 まず【遠視の方の眼について】-簡単な説明-



◇「遠視と近視」との違いを簡単に説明しておきたいと思います。





近視のおさらい



◇人間の眼は、網膜でピントがあうと、物がよくみえる仕組みになっています。
 遠くを見た時に「網膜よりも手前で焦点を結ぶ」のが近視です。(下の図参照)





 遠くの物を見る時にピントは網膜の手前ですが、
 近くの物は近くなる分だけ、焦点も網膜寄りに移動します。
 
 近視の方が遠くは見えないけど、本は読めるというのは、
 上の図のように、ピントの平行移動でピントが合うからです。

次に遠視です。(^^)/



遠視のおさらい



遠視の場合は、逆にピントのある位置が網膜よりも後ろになります。
〜網膜を突き抜けるわけではありません。下の図は説明上書いています。





遠視の人は、本当は遠くも近くも見づらいのですが、
焦点が近くになると、その分より見づらくなってしまいます。

若い時に遠視だった人は、遠近ともに、常に毛様体筋の力で水晶体を膨らませて、
無理に網膜へピントを合せ、眼の良い人と同じ視力を出しているのです。



若い時から遠視だった人の目



遠視の人が、若い時に「遠近両方見えるよ!」というのは
このような理屈からです。下のアニメーションがその例。



本来、近くを見る時だけ水晶体を膨らませる為、毛様体筋を使うのに、
遠視の人は、遠くを見る時にも、毛様体筋を使っています。


そして近くを見る時には、さらに筋力を使いますので、
《小さな筋肉》に相当な負担をかかっています。

眼の良い人に比べて、とても多くの時間使用しているため、
その反動として、眼の疲れもまた感じ易いです。


具体的には、昼間は良くても、さすがに夜に近づくと、筋肉も疲労しクタクタに…。

よく午後になったり、少し暗い所になると、近くの見え方が悪くなったり、
夜間運転の時や暗い道等で、人影や物が見づらくなり、ご相談を受けます。

こうしてようやく、初めて遠視に気づき始める方が多くなってきます。



遠視の特徴を抑えた上で、累進レンズになれにくいのか?



今まで、目の中の筋力を使って物を見てきたのですから、
眼鏡がその補助を代わりにすると、

目は楽になりますし、脳での融像も映像化もしやすくなります。( ^ω^ )


ただし、今まで筋肉を使ってみていたのは、ある程度習慣化されていて、
いきなり眼鏡を掛けたから、休んでいいよと体が感じるかは、ひとそれぞれ。


頑張るのをやめない眼の場合は、
完全に休ませる度数よりも少し休ませる程度が良いことも。


つまり、人によって度数調整してお作りすれば、
近視の方と慣れやすさは、あまり変わらなくなります。


どのような度数にすべきかが重要となります。(^^♪



【 遠視の方に累進系眼鏡用のご提案度数を決める 】



◆四六時中、頑張り続ける眼を休める、楽をさせてあげる度数設定が大切です。


眼精疲労を訴える方で眼科受診され、
調節を解くための目薬を差す方もいらっしゃいます。


調節が取れると本当の遠視が出てくるので、
潜在的な遠視の総量測定はしやすくなります。


このように完全に遠視が出た状態の度数で眼鏡を作るのも一つの選択肢です。
眼の発育時期の遠視のお子様への矯正治療用眼鏡もこれになります。


◆ただ眼(網様体筋)が無理な調節を止めるのには時間がかかるため、
 幼児が眼鏡をかけて「見えないから外したい」という事も起こりやすいです。

 幼児期までの短い期間に、眼の機能は大人になろうと成長していくので、
 この時期に適正な視機能を発育させておかないと、後で困ることになります。

 いくらお子様に「見えない」と言われても、掛け続けさせる必要がある事も。
 一時の我慢で大きな発育を得ることもできます。

 眼科医師の説明をよく聞いて、相談して掛け続けて頂きたいです。



◆前置きが長くなりましたが、大人の場合も同様に、
 遠視を完全矯正すると見づらさを訴えられる方も中にはいらっしゃいます。


 ある意味完全な遠視の度数を点眼麻酔を使って測定したとしても、
 習慣的に調節してきた眼が、突然普段からも調節を止めることは難しいです。

 かけ続けることで少しずつ調節が取れてくることは出来ますが、

 お仕事や日常生活で不自由を感じてしまい、
 支障が出てきてしまう場合は、生活の質や精神的な問題になります。


◆そこで当店の場合は、「潜在的な遠視はまだまだある」のだけれど、
 快適な使い心地を実現する為の「アシスト度数」との考えを持っています。


 日常的なお客様の使われている調節力を考慮しながら、
 より理想に近づけていく眼鏡を考えるのも、また一つの選択肢です。


 「遠視の方の遠近両用眼鏡度数が慣れやすい・使いやすい」ものになるかは、
 上記2つの選択肢だけで考えても、お客様の目の性質・使い方で変わります。

 ぜひお客様にあった度数設定を意識して見て下さい。



 【 当店で心掛けていること 】



◇遠視の眼の場合は特に言われることが多いのですが、

完全に100%の調整をした(完全矯正の)メガネがいいの?
とご質問頂くことが時々あります。

理論的には一番正しいと私も同意しますし、
遠見時の調節をあまりしていない方の多くにベストだと思います。


ただし、それが難しい方にまで、完全矯正度数を強いるのは、
「遠視だと累進レンズに慣れにくい」と言われる原因の1つだと考えます。


遠見時にかなり調節している方の場合は、色々な考え方があるのですが、

個人的にはお客様の使いやすい度数を軸にして、
最も使用される明視範囲を優先した眼鏡にすることを心掛けています。


いわば〔調節を計算に入れた度数設定〕がとても重要だと考えます。

 度数設定は、お客様毎に異なる様々な要因にあわせた対応が必要で、
 度数設定事例の経験の豊富さも影響します。



◇また、調節のし過ぎを[ 悪 ]とするのではなく、
 仕事のし過ぎを[ 楽にしてあげる ]という考え方に変え頂いて、

 楽をさせてあげるために、少しずつでも無理な調整をしなくても、
 物はちゃんと見えることを体に覚えてもらう。

 そんな位置づけも大切だと考えます。(^-^)


極端かもしれませんが、お客様によっては、
【遠用度数は度なし(に近い)遠近両用や中近両用】などにして、

お客様の必要度数をレイアウト時に「高め」や「低め」に工夫し、
眼前度数を通して違和感の少ない、かけやすい眼鏡もできます。


★遠視の方はなまじ眼が良いために、ご自分の不快感を
 うまく表現できずじまいになることもあります。

 調節力があるということはとても良いことなのですから、
 状況をスタッフに伝えて、しっかりとコンサルティングを受けて、

 使用に耐えうる、使いやすい眼鏡ができますので、
 先入観にとらわれないようにして頂きたいですね。(^-^)


 「調節してしまう部分を、どのように考えて、カバーするか」によって、
 「遠視の方の累進系眼鏡の使いやすさ・慣れやすさ」は大きく変化します。


※この部分の検査をマニュアル化するとすごく細かくなり、
 本当は考慮して作成しないといけない部分ですが、
  
 教える側には、たぶん眼鏡学校の講師並みに詳しい人が必要になりますし、
  ういう人がいないお店だった可能性もあります。


 私個人の考えでは「遠視だから近視より慣れにくい」というより、
(「お客様の適性」もありますが)
 きちんと合わせられれば言うほど有意差はないように感じています。


きちんとしたスタッフのお店でよくご相談になられて、テストレンズで体験。
体験した度数の感想やご希望を伝え、納得のいく度数作成をお勧めします。



……お客様のご質問への回答編 (回答編の目次に戻るには、ココをクリック。)

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