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使い易く 慣れ易い 遠近・中近・近々両用眼鏡 を作るために。

普通の街の眼鏡店からの 1つのアドバイス

(*´▽`*) 当店HP: http://sankyomegane.com/

(13)【 遠近両用レンズの累進帯 選択のポイントは? 】

遠近両用レンズの累進帯が、選択できるのは何故?


一部アイテムを除き、1つの遠近両用シリーズでは、累進帯の長短を選択可能。
⇒ いわゆる - ロング / ショート の2種類の選択可能 -(最近は中近でも増加中))


例えば、HOYAの両面複合設計 遠近両用レンズ [ Wellna ]シリーズでは、
販売金額が同じで、20mm、14mm または 11mmを選べます。


 私が「勝手に」レンズ性能が高いと思っている 日本の3大眼鏡レンズメーカで調べると…。

メーカー名 HOYA N 社 S 社
累進帯の長さ 20 / 14 / 11mm 14 12 mm 14 / 12 /10 mm


※ しかも、プレミアムクラス(1組10〜20万円くらいの)レンズになると、
  各社ともに、上記より広い範囲で、1mm単位で選べます。

※通常ランクのレンズだと、2つくらいが普通で、HOYAは両面複合設計の時のもの。


さて、選べるということは、それぞれにメリットがあるからですので、
…【累進帯の長短のメリット】を大雑把に、一部説明します。


[ 累進帯ロング(長い)タイプ ] のメリット


・ [ 短いタイプ ]より、遠から近の度数変化が緩やかで中間度数の面積が広い。
→ [ ショートタイプ ]よりも、遠用部の歪みが少ない。


[ 累進帯ショート(短い)タイプ ] のメリット


・中間距離の部分を短くした分、近く用度数の面積が広い
→ 加入度数が強く、中間度数が不要な人には、使いやすい。


※ なお遠方の見え方に着目すると、度数切替りが急な「累進帯ショートタイプ」は、
  「遠用部分の歪みが、ロングタイプよりも増える」デメリットがあります。

 (これをちょっと覚えておいて下さい。後で話に出ます。)



では、[ 累進帯 選択 ] をポイント説明していきます。


選択のポイント⇒ [ 用途・使い方 ] + 選択後の注意点 [ レンズ サイズ ] 】


(1) [ 用途・使い方 ] = 製作の動機・理由 + 具体的内容 で 累進帯を選ぶ。

まず、下表の例のように、左側に、ご自身の製作動機 を書いてみましょう。

次に 製作動機の環境を具体的に、右側に書いてまとめましょう。
具体的には、「対象物とそのサイズ」・「対象物までの距離・作業姿勢」です。

製作の動機・理由具体的な対象物(サイズ)・条件(距離・姿勢など)
(1)
車の運転で、不便を感じる。

◇ 対象物 : 道路標識 (視力表の0.7位の大きさ)

→ 距離  : 100m先  (着席状態)

◇ 対象物 : カーナビ (MPゴシック 14 pt 位)
→ 距離  : 70 cm 位  (着席状態)

(2)
料理の時に、苦労している。
◇ 対象物 : 大根の桂剥き(視力表の0.7位の大きさ)
 → 距離  : 30 cm 少々  (起立状態)

◇ 対象物 : 台所仕事全般(調理器具・食材による)
→ 距離  : 60 cm 少々  (起立状態)

◇ 対象物 : タブレット 
(7インチでCOOKPAD参照)
→ 距離  : 70 cm 位   (起立状態)
(3)
デスクワークが捗らない。
◇ 対象物 : 資料・報告書(文字サイズ特殊性なし)
→ 距離  : 35〜45 cm   (着席状態)

◇ 対象物 : デスクトップ(CAD・具体的文字サイズ)
→ 距離  : 50 cm 少々  (着席状態)

◇ 対象物 : 模型・設計図(図や写真ご持参で再現)
→ 距離  : 80 cm 位 (壁掛けまで移動・起立状態)

◇ 対象物: 同僚・来客 (顔・服装)
→ 距離  : 5 〜 10m 位 (移動後・起立状態で確認)


例えば、(1) 運転用遠近両用眼鏡の場合、老眼(加入度数)状況で変わりますが、
おおむね、長短どちらでも対応可能で、御本人の見え方の好みをテスト装用で確認します。


(2)の場合、高加入度数になると、中間度数の面積の減るショートタイプより、
ロングタイプの方が使いやすくなる傾向があります。〜 中近両用レンズが良い場合もあり。

(3) の場合、加入度数が弱度なら、多くの場合、ロングまたはショートを好みで選択。
加入度数が強い場合で、中間度数がなるべく必要なら、ロングタイプが快適に感じやすいかも。

※詳細さ・緻密さが要求する場合、
『中距離重視の遠近両用レンズ』 or『 遠用重視中近両用レンズ』も選択肢に。


◆上記例を少し解説しましたが、必ずしもお客様に当てはまるかは別です。
 テスト装用時に上記例を参考に、ご自分がどう感じるかを意識して見て下さい。

 漠然とテスト装用するよりも、意識することでより良い選択の可能性が高まります。


 それではもう一つの選択時のポイントに移りましよう。


(2) 累進帯選択後の注意点 [ レンズ サイズ ] = 累進帯にあった 眼鏡フレーム 選び

(1)のプロセス、そしてテスト装用の結果、累進帯タイプを決定したら、
各レンズ性能を十分に活かせる、[ レンズ サイズ ] のメガネフレームを選びましょう。

補足:
遠近両用等の累進レンズは、レンズ上部から下部に、度数が縦に変化します。
このため、レンズの上下幅のサイズについて記します。

累進帯 タイプ [ 推奨サイズ ] または [ 注意点 ] - 私見 -
ロング  タイプ [ 推奨サイズ ]
初心者で今まで大きな眼鏡を掛けていた場合
・ 旧世代設計 : 上下幅 33 mm以上
・ 現世代設計 : 上下幅 30 mm以上

[ 注意点 ]
上下幅が小さくても、使い方によってはショートではなく、
ロングタイプで快適な人も一部で存在します。
→ 私も、上下幅 25 mmでロングを持っていて、使っています。
ショート タイプ [ 推奨サイズ ]
初心者で今まで大きな眼鏡を掛けていた場合
・ 旧世代設計 : 上下幅 30 mm より小さく。
・ 現世代設計 : 上下幅 30 mm より小さく。

⇒最小上下幅は、レイアウトで変化するので不記載。

[ 注意点 ]
上下幅の大きい(例えば35〜40mm)眼鏡で作ると、
遠用部も近用部も歪みの部分が大きくなります。

上下幅の小さいレンズデザインで見える範囲を増やす設計は、
上下のある眼鏡にすると、ロングより歪みが大きい性質あり。



例えば、近遠両用メガネの設定で遠近両用メガネをショートタイプで製作するなら、
上下幅の狭いデザインで作る方が、歪みが少なく感じて、使いやすい方が多いです。


(実例1)
他店で近遠両用眼鏡の設定で、上下幅のある眼鏡で作られたお客様で、
全く使えなかったお客様に、適度に上下幅の小さい眼鏡を当店製作。

全く問題なくお使い頂いているお客様もいらっしゃいます。


(実例2)
私自身も、ハイグレードの中近両用レンズのショートタイプを、
上下幅45mm位の大きな上下幅の眼鏡で製作した時、

歪みが気になって使い物になりにくかったのを、
上下幅の小さな眼鏡で再作したところ、終日装用可能になりました。


「 まとめ 」


このように、「累進帯の選択」には、使用目的等の明確な意識付けを行い、
その上で、テスト装用時にしっかりと自己評価をできるようにする。


次に、自己評価ができた後は、選択した累進帯の特徴にあった上下幅の眼鏡を選ぶ。
この2段階をしっかりとすることが大切です。


お客様をきちんとリードできるスタッフ・ショップで眼鏡を作れればよいのですが、
そういったことにご心配のお客様は、ぜひ上記の点を注意しておくと良いと思います。


皆様の快適な眼鏡作りを心よりお祈り致しております。(*´ω`)


……お客様のご質問への回答編 (回答編の目次に戻るには、ココをクリック。)

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